
雨の日には、雨の物語を。「梅雨に読みたい小説5選」
(カドブン6月6日より転載)
6月に入り、湿度がどんどん上がりはじめました。
出掛けるときに傘を持つ日が増え、気づけば貴重な晴れ間を待つ梅雨がやってきますね。
外に遊びに行きづらいから、家でなにか楽しいことをしたい……
そんなとき、空模様に合わせて小説選びをしてみるのはどうでしょうか。
物悲しい雰囲気を演出するときもあれば、「雨降って地固まる」ということわざを象徴するような、元気が出る作品も。
繊細な心理描写が光る物語から、ハードボイルドなミステリまで、自信をもっておすすめできる作品をご紹介します。
外が雨だからこそ楽しめる、「梅雨に読みたい小説5選」
伊岡瞬『教室に雨は降らない』(角川文庫刊)

家庭と学校の闇を照らす、希望の連作ミステリー!
森島巧は公立小学校で音楽の臨時講師として働く23歳。音楽家の親の影響で音大を卒業するも、流されるように教員の道に進んでしまう。腰掛け気分で働いていた森島だが、学校で起こる予想外のトラブルに巻き込まれていく。モンスターペアレント、いじめ、無気力教師、学級崩壊。子どもたちのSOSサインを見抜き、手探りで解決していく中で、彼が見つけた真実とは? 曇りがちな私たちの心を晴れやかにする、希望の連作ミステリー。
詳細はこちら⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/201203000914/
相沢沙呼『雨の降る日は学校に行かない』(集英社文庫刊)

本格ミステリの名手が描く、学校生活の圧倒的リアル。
保健室登校をしているナツとサエ。二人の平和な楽園は、サエが“自分のクラスに戻る”と言い出したことで、不意に終焉を迎える――(「ねぇ、卵の殻が付いている」)。
学校生活に息苦しさを感じている女子中学生の憂鬱と、かすかな希望を描き出す6つの物語。現役の中高生たちへ、必ずしも輝かしい青春を送って来なかった大人たちへ。あなたは一人きりじゃない、そう心に寄り添う連作短編集。
黒川博行『雨に殺せば』(角川文庫刊)

大阪府警捜査一課“黒マメ”コンビが謎を解く! 直木賞作家の傑作ミステリ
大阪府警捜査一課 “黒マメ”コンビの元に事件の報せが舞い込んだ。現金輸送車襲撃事件について事情聴取した銀行員が、飛び降り自殺したという。銀行員2名が射殺され約1億1千万円が奪われた襲撃事件と、死亡した銀行員の関係は? ふたりはやがて真相に近づいていくが、新たな犠牲者が出てしまい――。
詳細はこちら⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/321710000602/
坂井希久子『雨の日は、一回休み』(PHP研究所刊)

おじさんはつらいよ!? 会社での板挟み、女性問題、家族の冷たい目……。日本の中年男性の危機をコミカルかつ感動的に描く連作短編集。
おじさんはひどい。でも、おじさんだってつらい!? 男性は「そうなんだよ」と共感、女性は「こんな人に困ってる!」と思わず頷く物語。 ●人事からセクハラを注意された課長。だが、どの部下が訴えたかわからない。次の日から部下の対応に四苦八苦するのだが……。(「スコール」) ●女性の後輩に出世競争で敗れ、役員になれなかった男は、果たして次の生きがいを見つけられるのか。(「時雨雲」) ●浮気で離婚された男が、十年ぶりに娘と再会した「気まずい場所」とは。(「涙雨」) ●四十代で派遣社員。ストレス解消にネット上で女子高生「さなたん」として活動する男が陥った大ピンチ。(「天気雨」) ●定年退職後、街に出て公共マナーを注意することが生きがいとなった男の孤独。(「翠雨」) 報われない「おじさん」たちの心情を時にコミカルに、時に切なく描き出す、連作短編集。
桐野夏生『新装版 顔に降りかかる雨』(講談社文庫刊)

現代を代表する作家の圧倒的デビュー作!
これぞ桐野夏生の原点。江戸川乱歩賞受賞作!親友の耀子が、曰く付きの大金を持って失踪した。夫の自殺後、新宿の片隅で無為に暮らしていた村野ミロは、共謀を疑われ、彼女の行方を追う。女の脆さとしなやかさを描かせたら比肩なき著者のデビュー作。江戸川乱歩賞受賞!