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【特別掲載】冲方丁『骨灰』

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得体の知れない怪異と不条理が襲いくる――。鬼才が放つ、戦慄の長編ホラー。 『天地明察』『十二人の死にたい子どもたち』「マルドゥック」シリーズ。 ジャンルを超越しベストセラーを生み… もっと読む
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#角川書店

娘が炎に呑まれる――恐ろしい夢を見た。 「骨灰」#21

娘が炎に呑まれる――恐ろしい夢を見た。 「骨灰」#21

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 はっと光弘が目を開いたとき、娘を焼くおぞましい火の輝きはどこにもなく、寝室の暗い天井があるばかりだった。手は、耐えがたい熱を感じているはずだと思ったが、それもなかった。
 代わりに全身が小刻みに震えており、凍えたように奥歯がかちかち耳障りな音を立てている。遅れて、どっと恐怖の汗がにじみ出した。額を拭った手の平がびっしょり濡れるほどだ。
 こんな恐ろしい夢は

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 水を求め続ける娘の様子がおかしい――。 「骨灰」#20

水を求め続ける娘の様子がおかしい――。 「骨灰」#20

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 光弘は足早にシンクに近づき、手の平を叩きつけるようにして乱暴に水栓を閉じた。水の音が、気づけば経験したことがないほど不快で苛立たしいものに思えていた。声をかけ続ける美世子のことも。返事をしない咲恵のことも。
 だがそのせいで、美世子をびくっとさせてしまった。光弘は大きく息をつき、可能な限り声を落ち着かせて言った。
「お水、飲み過ぎだよ、咲恵ちゃん」
 ふと、いつ

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かつてひとりで酒を飲んでいた父の視線は、どこにも向けられていなかった。  「骨灰」#18

かつてひとりで酒を飲んでいた父の視線は、どこにも向けられていなかった。  「骨灰」#18

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「悪かったな、付き合わせて。そろそろ寝たほうがいいんじゃないか」
「そうする。あなたは寝ないの?」
「これを片づけたら寝るよ」
 光弘はテーブルに広げられた書類のほうに顎をしゃくって言った。
 美世子がうなずきながら、遠くにあるものでも見るように書類を眺めた。
「会社に戻ったとき、私の仕事あるかな」
「そりゃあるだろう。部署でも頼られてたのは間違いないんだから」

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建設現場にあった祭祀場には、多額の予算が計上されていた。 「骨灰」#17

建設現場にあった祭祀場には、多額の予算が計上されていた。 「骨灰」#17


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第2章 たまい



「あっ。これって、工事費だけじゃなく、そのあとの維持管理費も入ってるのね」
 美世子が言った。赤ペンを持ったまま印刷された数字を目で追い、かと思うと、さっと線を引いた。
 光弘が覗き込もうとすると、美世子が書類をこちらへ向けてくれた。見ると契約期間が『二〇四五年六月末日』までであることを示す欄に、赤くアンダーラインが引かれている。
「本当

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あるはずのない重機。違和感だらけの空間に、金属音が響く。 「骨灰」#8

あるはずのない重機。違和感だらけの空間に、金属音が響く。 「骨灰」#8

得体の知れない怪異と不条理が襲いくる――。
鬼才が放つ、戦慄の長編ホラー。
『天地明察』『十二人の死にたい子どもたち』「マルドゥック」シリーズ。
ジャンルを超越しベストセラーを生み出す鬼才・冲方丁が綴る長編ホラー小説「骨灰」(こっぱい)。『小説 野性時代』2021年9月号から満を持してスタートした連載を、順次配信していきます。(連載の続きがすぐに読みたい方は本誌をぜひ!)
建設現場で遭遇する不可解

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ああ、そうだ。この臭いは、〈人が骨まで灰になるときの臭い〉だ。 「骨灰」#7

ああ、そうだ。この臭いは、〈人が骨まで灰になるときの臭い〉だ。 「骨灰」#7

得体の知れない怪異と不条理が襲いくる――。
鬼才が放つ、戦慄の長編ホラー。
『天地明察』『十二人の死にたい子どもたち』「マルドゥック」シリーズ。
ジャンルを超越しベストセラーを生み出す鬼才・冲方丁が綴る長編ホラー小説「骨灰」(こっぱい)。『小説 野性時代』2021年9月号から満を持してスタートした連載を、順次配信していきます。(連載の続きがすぐに読みたい方は本誌をぜひ!)
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図面にはない謎の空間。そこにぽっかり空いた四角い穴。この空間はいったい? 「骨灰」#6

図面にはない謎の空間。そこにぽっかり空いた四角い穴。この空間はいったい? 「骨灰」#6

得体の知れない怪異と不条理が襲いくる――。
鬼才が放つ、戦慄の長編ホラー。
『天地明察』『十二人の死にたい子どもたち』「マルドゥック」シリーズ。
ジャンルを超越しベストセラーを生み出す鬼才・冲方丁が綴る長編ホラー小説「骨灰」(こっぱい)。『小説 野性時代』2021年9月号から満を持してスタートした連載を、順次配信していきます。(連載の続きがすぐに読みたい方は本誌をぜひ!)
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極度に乾いた空気、鋭く鼻を刺す臭い、不可解な足跡。この底にあるものは――。 「骨灰」#5

極度に乾いた空気、鋭く鼻を刺す臭い、不可解な足跡。この底にあるものは――。 「骨灰」#5

得体の知れない怪異と不条理が襲いくる――。
鬼才が放つ、戦慄の長編ホラー。
『天地明察』『十二人の死にたい子どもたち』「マルドゥック」シリーズ。
ジャンルを超越しベストセラーを生み出す鬼才・冲方丁が綴る長編ホラー小説「骨灰」(こっぱい)。『小説 野性時代』2021年9月号から満を持してスタートした連載を、順次配信していきます。(連載の続きがすぐに読みたい方は本誌をぜひ!)
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SNSの投稿に紐づいた現場を順に見て回るうち、謎の印にたどりつく。 「骨灰」#4

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得体の知れない怪異と不条理が襲いくる――。
鬼才が放つ、戦慄の長編ホラー。
『天地明察』『十二人の死にたい子どもたち』「マルドゥック」シリーズ。
ジャンルを超越しベストセラーを生み出す鬼才・冲方丁が綴る長編ホラー小説「骨灰」(こっぱい)。『小説 野性時代』2021年9月号から満を持してスタートした連載を、順次配信していきます。(連載の続きがすぐに読みたい方は本誌をぜひ!)
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大手建設会社のIR部の危機管理チームに所属する光弘は、とある建設現場の調査に乗り出す。 「骨灰」#2

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得体の知れない怪異と不条理が襲いくる――。
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ジャンルを超越する鬼才が綴る新時代の長編ホラー小説、開幕! 「骨灰」#1

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得体の知れない怪異と不条理が襲いくる――。
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